Armored WarfareのObject 640について

だいぶ昔に公式ページのIn Developmentにて公開されてから、未だに(表には)公開されていない車両があります。Object 640(愛称:Black Eagle)です。

実に2016年末に記事が書かれてから1年以上経ってるわけですが、最近やっとBlack Eagle柄の迷彩の別車両の出現によりその実装を匂わせつつあります。ただ、0.23のパッチノートを見る限りでは、既にクライアント内のデータ上には存在しているようです。

2016年末の記事の時点でわかっていた内容としては、この車両がTier10のMBTであることくらいでしたが、最近ロシアサーバで一部で配布され、スペック詳細も判明したことにより、その実態が明らかになってきました。



まず、他のBlack Eagle柄の車両の存在から大体想像がつく通り、こいつはプレミアム戦車です。WoTで言うところのObject 907だのVK 72.01(K)だの辺りに相当する報酬車両枠ですね。

ということは必然的に単に札束を叩きつければ手に入る車両ではなく(と言うかTier9に昇格させたCentauro 120のプレ車版を二度と売らないと断言した運営が売るはずがありません)、何らかの長いミッションの果てにやっと手に入るものです。これについては、EU及びNAサーバ向けのフォーラムでモデレータをしているSilent Stalker氏もおおよそこの旨で公言しています。

では実際にRUサーバでどのようにして手に入るようになっているかというと、ミッションへのアクセス権を299RUB(約600円)で購入させ、その上で長期間に渡るクソ長いミッションを延々と達成することで手に入る仕組みになっているようです。かつ、Twitchでロシア人の配信を見ていると分かる通り、ごく一部のユーザは既にこの車両を入手しています。これがどのような層なのかというと、Mail.ruが正式に認めた配信者にのみプロモーションの目的で無料配布したものだそうです。よって、執筆時点ではRUサーバでもまだ一般頒布の段階には移っていないようですね。

これがEU及びNAサーバにていざ実装されるとなったらどういう形になるのかはわかりませんが、アクセス権を購入する必要があるのかはさておき、Silent Stalker氏も言うとおり、結構長い間面倒くさいノルマをクリアしていくマラソンになるのでしょう。普通のStorylineのノルマですら過疎で厳しいNAサーバの住民からすれば、かなり入手するのは現実的ではなさそうです。


で、その肝心のスペックはどうなのかというと、正直かなり弱い玄人向けっていうのが本音です。言い忘れていましたが、この車両はT-80Uの後継でありまたの名をT-80UM2と言うくらいなので、かなりT-80Uの色を引き継いでいる所が強いです。何が言いたいかといえば、一番致命的なのがとんでもなく装甲が弱いということですね。

装甲はともかく、まずは火力から見ていくと、現状のT-14ルートでおなじみの控えめ火力速射型って言うイメージです。詳しい数値は

  • 平均ダメージ(AP):660
  • 貫通力:780mm
  • 装填時間:7.65s
  • DPM:5176
必然的に同じロシアMBTであるT-14と比べたくなると思いますが、T-14の場合は最終開発まですると
  • 平均ダメージ(AP):700
  • 貫通力:830mm
  • 装填時間:7.20s
  • DPM:5833
という具合です。こう見ると、火力自体は標準的なロシアMBTよろしくかなり取り回しの良い印象を受けます。精度に関しても0.103、エイム時間1.83sと、T-14と比べて遜色なく、レトロフィットで十分に補える範囲です。……なのですが。

ここでこの車両の一つ目の欠点が露呈します。それは、俯角6°/仰角1.5°であるという点です。

W○Tか?

まあWo○のソ連Tier10に比べたらこれでもマシなのは事実ですが、AWと言う快適性第一のゲームにおいてはかなり苦痛な部類なのが容易に想像できます。例のごとくこれについてもT-14を引き合いに出せば、ただでさえ俯角に困る場面(例えばStarry Nightの最終プライマリで崖からちょっかい出すときとか)の多いT-14ですら俯角7°です。1°の違いは俯角の世界では天地の差ですから、使うまでもなく不便なのが想像できます。俯角6°がどれくらいなのか試したい人はT-72辺りをテストドライブするのが早いです。というわけで実際に試しましたが騒いだほどしんどくはないってのは少し感じました
ちなみに、こいつの前身に当るT-80Uは俯角7°です。何故なんだ?
更についでの話をすると、バージョン0.22の時点(もちろん一般には頒布されていませんが)ではこれよりも更に俯角が酷かったようです。


次に、問題の装甲を見ると、



416/85/80



マジ?


とは言え、T-90MSは大体車体正面270mmでも割とタフですので、傾斜やERAでカバーしているんじゃないかとも考えられますが、どうもその望みは叶わないようで、基本的に後ろに籠って中遠距離狙撃に徹し、味方によるカバーが必須とまで言われています(SS氏談)。どうもその情けなさといえばLeopard 2A5を連想させるところがあるんでしょうか。少なくともTier10のMBT中で最薄であると言われており、即ち装甲薄めなLeo.2AXよりも貧弱なわけですから、それくらいは覚悟した方が良いかも知れません。
実際にTwitchで使ってる所を運良く(?)見られたのですが、かなりバカスカ抜かれてる印象は否めません。やはりSS氏やデータの示す通りかなり貧弱な装甲なのでしょう。

反面、砲塔前部の装甲は1050mmと、かなり堅牢です。あのChallenger 2 ATDUでも625mmですからね。……と言うと聞こえは良いのですが、逆に砲塔前部はその程度の厚さで十分すぎるほど足りるということです。早い話がどこにもわざわざ砲塔前部を撃つまぬけはいないわけであって、問題はターレットリングですね。ターレットリングの具体的な数値は出ていませんが、SS氏の言いぶりも見るにあまり堅牢とは言い難いのでしょう。ちなみにターレットリング周りの装甲がカスな事で有名なXM1A3も砲塔前部自体は装甲厚950mmとかなり高めです。


もう一つ、ロシア戦車の長所である機動性についてはかなり良好な部類です。となると、MBTとして敵の弾を受けながら制圧していくというよりは、LT運用の方が明確に適しそうです(俯角は若干ひどいですが)。LTを好んで使っている方は、入手イベントが実装された際には是非とも狙ってみてはいかがでしょうか。NAサーバでイベントクリアできるほど人が集まるかは別として



ソース

[1]IN DEVELOPMENT: OBJECT 640 "BLACK EAGLE", https://aw.my.com/us/news/general/development-object-640-black-eagle

[2]Спецоперация «Черный орел» | Armored Warfare: Проект Армата, https://aw.mail.ru/blackeagle

[3]Object 640 “Black Eagle” in Silentstalker’s eye, http://aw.gamestone.pl/object-640-black-eagle-in-silentstalkers-eye/

コメント

このブログの人気の投稿

グランツーリスモ2でのチート車(ハイブリッド)の生成

中国からの抱き枕カバーが禁輸品指定を喰らった場合

淘宝網での購入プロセス(ツイッターの身内向け)